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子供も大人も悩む症状・・・なかなか治らないおねしょ(夜尿症)の原因と対策方法

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夜尿症とは

 

通常、2歳くらいまでのお子様は毎日睡眠中におねしょをしています。

そこから腎臓や膀胱が成長し、排尿機能が整っていくにつれてオムツが取れ、

朝まで尿を漏らさない・尿意に気づいてトイレに起きる

といったことが出来るようになっていきます。

おねしょと夜尿症は、

どちらも睡眠中に無意識のうちに排尿してしまうという点は同じですが、

概ね5~6歳を過ぎても継続的に週3回以上のおねしょが見られる場合は『夜尿症』と呼ばれるようになります。

 

通常15歳くらいを目安に自然に消失することの多い疾患ですが、

まれに成人後も夜尿症が続いている方もいます。(約1% 100人に一人の割合)

また、一度夜尿の症状がなくなったあとも、

精神的な不調や、加齢による筋肉の衰えなどで成人後に夜尿症を発症するケースもあります。

 

夜尿症の症状

 

睡眠中、無意識のうちに排尿が見られるのは皆さま一緒ですが、

人により昼間のトイレにも異常が出ている方もいます。

 

・毎日お布団を濡らしてしまう

・おねしょをしていても気づかずそのまま寝ている

・一晩に2回以上おねしょをする

・なかなかオムツを取ることができない

・日中も直前まで尿意に気づかず、漏れそうになりトイレに駆け込むことが多い

・頻尿、もしくは昼間のトイレの回数が極端に少ない(1~2回)

・アルコールを摂ると漏らしてしまう

 

多くの場合は痛みもなく、命に関わることもめったにない疾患ではありますが、

人に言えない恥ずかしさや自信の喪失が精神的な負担として、精神面・生活面に影響を及ぼす事が多いです。

 

夜尿症のタイプと原因

 

夜尿症の症状が起きてしまう仕組みとしては、主として2つあります。

 

①『膀胱』の筋肉が緊張しやすく、尿を貯められる量が少ない

②『抗利尿ホルモン』の分泌量が不安定

 

膀胱は筋肉でできた袋状の臓器で、いわば尿の貯水池と言えます。

膀胱から尿道への出口では、

自分の意思でコントロールできる“尿道括約筋”と

自分の意思とは係わらず働く“膀胱括約筋”のふたつの括約筋がバルブ役を果たし、排尿が行われます。

 

自分の意思では動かせない膀胱括約筋を動かしているのは、体内の自律神経です。

睡眠中は自律神経のうち“副交感神経”が働くため、

筋肉はやわらかく弛緩しており、多量に尿が貯められるようになっています。

この調整能力が上手く働かず、膀胱が硬く緊張したまま睡眠状態になると

少しの尿でも貯めきれずに体外に漏れ出してしまいます。

 

また、睡眠中に出るホルモンに『抗利尿ホルモン(バソプレシン)』というものがあります。

これは腎臓で作られた尿の中から水分を再吸収するよう促すホルモンで、

この働きにより尿が濃く凝縮されることで、夜間に溜まる尿量が少なくなります。

このホルモン分泌が少ない状態ですと、

薄い尿が大量に作られて膀胱の容量を超えてしまい、夜尿につながります。

また、稀ですがこのホルモンの分泌バランスが“昼夜逆転”することで

昼間に尿の凝縮が行われ、トイレの回数が極端に少なくなっている方もいます。

 

この原因の違いから、夜尿症の症状タイプは3つに分けられます。

 

・多尿型

膀胱容量は正常なものの、抗利尿ホルモンの分泌が少なく尿量が多いタイプ

・膀胱型

抗利尿ホルモンの分泌は正常で尿量は一般的なものの、膀胱が緊張しやすく貯留量が少ないタイプ

・混合型

膀胱容量も抗利尿ホルモンの分泌も少ないタイプ

 

 

こうした膀胱の緊張、ホルモン分泌の不安定が起こる原因は、

多くのお子様の場合「体内臓器の発達途上」によるものが多いです。

この場合は、成長によって排尿機能が整うことで症状が消失していきます。

その他、原因とされることについては個人によって違ってきます。

日常受けるストレスによるものや、腎臓や膀胱そのものの器質的な異常であることも考えられます。

しっかりと診察を受けられ、体内の状態を把握して原因を掴むことが大切です。

 

夜尿症の一般的な治療

 

生活指導

夜尿症の治療には、何より日常生活の改善が大きな効果を発揮します。

 

・生活リズムの見直し

体内の臓器を動かす自律神経は、規則的な生活を送ることで最大限に働くようになります。

毎日同じ時間に食事・睡眠を取るようにして睡眠の質を向上し、ホルモンの分泌バランスを整え、

抗利尿ホルモン・成長ホルモンが充分に分泌されるよう促していきます。

 

・栄養指導(特に多尿型に有効)

食事・間食の際に塩分やタンパク質を摂りすぎていないかを見ます。

過剰に摂りすぎてしまうと、体内で薄めようとする力が働くために、

過剰な喉の渇きや尿量の増加につながります。

 

・水分摂取コントロール(特に多尿型に有効)

1日の水分摂取を昼間に多く、午後~夜間にかけて少なくしていき、

夜間に作られる尿量を減らしていきます。

食べ物にも水分は含まれるため、夕食はできるだけ就寝の3~4時間前に終わらせておきます。

 

・排尿抑制訓練(特に膀胱型に有効)

日中、ぎりぎりまで排尿をがまんして膀胱容量を増やすトレーニングです。

休日の自宅など、時間に余裕がある状況で行います。

その際、計量カップに限界まで貯めた尿量(がまん尿)を測定します。

目安として6~8歳で150mL、9~11歳で200mL、

12~15歳では300mL以上は貯められるようにしていきます。

 

・冷えの対策

冷えによって血行が悪化することで、

膀胱の筋肉が緊張したり尿量が増えたりと夜尿につながります。

寒がりだったり冷え性がある場合は、

しっかりと入浴する・布団を事前に温める・腹巻を着けるなど冷え対策も行います。

 

投薬治療

状態により、投薬治療がされる場合もあります。

 

・ホルモン補充薬

抗利尿ホルモン(バソプレシン)を補い、尿の凝縮を促すことで尿量を減らしていきます。

例:デスモプレシンスプレー、ミニリンメルト 等

 

・抗コリン薬

膀胱括約筋の緊張を緩和して頻尿の改善を促します。

例:バップフォー、ポラキス 等

 

・抗うつ薬

落ち込んだ気分を緩和して自律神経の働きを高めます。

例:トフラニール 等

 

アラーム療法

下着の中に濡れると反応するセンサーを取付け、

夜尿があった瞬間に音と振動で覚醒を促し、条件付けをしていくことで成果を出す療法です。

夜尿後、アラームによって覚醒することを繰り返していると、

無意識下での蓄尿コントロールが容易になっていくという報告があります。

 

夜尿症の漢方対策

東洋医学的に見た原因

東洋医学では、夜尿症はさまざまな体質や原因が複雑に絡んで起こる症状と考えられており、

実際の患者さまにおいてもその原因は多岐に渡りますが、

その中でも「腎虚(じんきょ)」「気虚(ききょ)」「気滞(きたい)」の状態が目立つ方が多いです。

 

・腎虚…腎臓、膀胱、自律神経など体を作る臓器の発達不足

・気虚…体力がなく、必要なエネルギーや水分などが体外に漏れ出ている状態

・気滞…ストレス等により、ホルモンや自律神経の働きが一時滞っている状態

 

対策方法

 

その時に出ている症状によって対策方法が違ってきます。

上記のようにどのような体質に当たるのか?

目立つ症状によってどのような時に夜尿が起こりやすいか?を総合的に判断し、

乱れた体のバランスをもとに戻すと同時に、

臓器の成長促進に働きかけることで排尿機能を整えていきます。

 

主として、「腎虚」の方には「腎」の機能を向上・成長促進する“補腎剤”、

「気虚」の方には気(エネルギー)を補う“補気剤”、

「気滞」の方には自律神経やホルモンバランスをもとに戻す“理気剤”を用い、

状態に合わせ、組み合わせて対策します。

 

漢方薬の効果は

症状が起こる原因として、自律神経の働きやホルモン分泌など

体内のバランス調整能力が関係する夜尿症には、

そもそもが体内のバランスを整える対策である漢方との相性がとても良いです。

クリニックによっては、漢方薬での治療をメインとしているところもあります。

また、自然の生薬を使用しているため小さなお子様でも安心して服用でき、

症状が治まるまで長く服用されても体への負担が少ないというメリットもあります。

 

まとめ

 

夜尿症の方は、誰にも相談することができずに一人で悩みを抱え込んでしまい、

結果として症状が長引いたり日常生活を楽しめなくなる方も多いです。

「病院に行くようなことではない」「気持ちの問題」という間違った認識があったり、

子供の夜尿症の場合は「育て方が悪い」と言われるなど、

親御さんの心までも傷つけられてしまうケースもあります。

しかし統計上では、夜尿症の治療を受けている方は

日本全体の0.5%(200人に1人)という報告もあり、決して珍しい疾患というわけではありません。

日常生活の様子などに気を付けていただき、必要に応じて病院で検査等を行い、

症状が起こる仕組みを知って適切な対処をすれば充分症状の軽減は見られていきます。

少しでもこちらの情報が参考になれば幸いです。

お悩みの方は、ぜひ1度ご相談くださいませ。

ご相談は下記のリンクからお願いいたします。

おねしょ(夜尿症)を漢方で改善する(大人・こども対応OK)

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薬剤師 中尾典義

代表取締役社長榎屋相談薬舗㈱
薬剤師免許取得。吉富製薬㈱東京研究所 研究員に従事。その後、病院の薬剤師として臨床経験を積む。1995年家業である薬局を継ぎ榎屋相談薬舗㈱を設立。現在では元NPO日本抗老化医学会 実践指導士 ・(社)日本漢方連盟 漢方委員・ミス・ユニバース ジャパン 鹿児島 認定漢方講師など複数の肩書を持ち、多方面で活躍する。

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